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2018-12-17

ECG付きApple Watchは日本でも販売されるのか?

もうかれこれ3ヵ月ほど前になりますが、Appleが「Apple Watch Series 4」を発表し、これが心電図表示機能を搭載したスマートウォッチとしてFDAで医療機器として承認されたと報道されていました。
私もApple Watchの購入を検討していたこともあり、ちょっと気になっていました。(結局、Garmin ForeAthlete 230Jを買いましたが……)

使用方法は、Apple Watchを装着し専用アプリを起動、センサに指をあてて30秒待つだけ。洞調律、心房細動(AF)、頻脈や徐脈などの結果が表示、保存されます。

これについてFDAのサイトで承認取得時の(FDAからの)Letterを見てみました。
するとそれには「入手したデータはあくまで情報提供目的に限られ、使用者が医療従事者のアドバイスなしにこの結果をもとに臨床的な判断や処置を行うことは想定していない。得られたECG波形は正常洞調律とAFなどを区別するための補助的なもので、従来の診断や治療に替わるものではない(診断目的での使用は意図していない)。」とありました。

つまり、あくまで使用者が日常生活で補助的に使用し、これを医師が参考にする程度の位置づけのようです(承認カテゴリとしてはOTCとなっていました)。

では日本で「医療機器」として承認されるのか?となると、(個人的な印象としては)難しいのではないかと思います。
そもそもFDAでも使用目的が「情報提供」に限定されており診断や治療ではないため、日本国内でもこれを踏襲するなると薬機法の「医療機器」の定義1)に該当しなくなるからです。つまり「医療機器」とするためには薬機法の定義に合致していなければならないのに、その要件を欠いているわけです。

一方、日本で「医療機器」として申請する(診断に用いるとした場合)には、少なくとも現在承認されている心電計と性能や安全性に関する比較試験を行って、有効性、安全性が同等以上であると示さなければなりません。(あるサイトには「厚労省の認可待ち」と書いてありましたので、申請しているのかな?わかりません……。)

ちなみに、Journal of the American College of Cardiology (Volume 71, Issue 21, 29 May 2018, Pages 2381-8)に、「Smartwatch Algorithm for Automated Detection of Atrial Fibrillation」という論文が掲載されており、Apple Watchと従来の12誘導心電図とを比較し、その正確さを検証しているものがありました。
結論としては、かなり良好な結果が得られたとありました2)。これに限らず他にも臨床研究がなされているのでしょうね。

いずれにしても日本で導入する際には、営業戦略として「医療機器」のお墨付きが欲しいのか、一般の健康器具レベルでもいいのかによって導入のしかたは変わってきますね。お金のありそうな会社ですから、ここは一発、医療機器として出すというのもいい印象かもしれません。

それはそうと、このApple Watchで得られたデータはアプリを通じてどんどん蓄積されていくわけで、ちょうど話題になっているAIを用いた診断機器の開発に流用されるのかもしれませんねぇ……。


1)人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるもの
2)12誘導心電図と比較した際のAF診断の感度は、Apple Watchが93%に対し12誘導で99%、特異性は84%に対し83%

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